辻 :目立つフレーズが多いんで、レコーディングでは出来るだけエレキっぽいうるさい音じゃなくて馴染む音になるように気を付けてました。
ー『屋上庭園にて』はどう?リズムボックスとシンセの音色の効果で良い感じで緩やかなムードが出てるよね。
鈴木:Shuggie Otisの『Island Letter』は、リズムボックスやモヤっとした音色の鍵盤から連想される気だるい雰囲気に、ストリングスやグロッケンの音が重なるシュールな感じがいいなと思って、サウンドの参考にしてました。
稲妻:元々はジョージ・ハリスンの『Pure Smokey』みたいな泥臭い感じだったんですけど、曲が持つ雰囲気に馴染むようにアレンジとか歌詞を考え直しました。
さっきも言ったんですが、絵とか映像のイメージが頭の中で出来てくるんで、それを色々な要素で一つの曲に落とし込むという作り方をしてましたね。
(ライブは)行って帰ってくる思い出しかない(笑)
ーやっぱいろいろな音楽の要素が詰まってるみたいだね。このアルバムを気に入ってライブを見たい人もいると思うんだけど、予定は?
稲妻:ちょっと今メンバーが忙しいってのもあって予定はないんです。
岡野:前にライブしたのっていつだっけ?2年前?
ーバンドしててライブしたいって思わない?
稲妻:思わないですね。
鈴木:曲作りや音源制作の作業の方が好きですね。ライブが楽しいって感じたことはないかもしれないです。
稲妻:行って帰ってくる思い出しかない(笑)
でも今回作った音源でどんなライブになるか自分でもわからないので、(もしやるなら)その辺を楽しみながらできるとは思いますね。
ー過去の音源をディグる話は聞いてきたけど、逆にここ1、2年にリリースされたものとか、みんなどんなの聴くの?
岡野:ケンドリック・ラマーとか。
鈴木:マック・デマルコとかみんな聴くよね。
辻 :僕はデビッド・ボウイとプリンスの新譜。あとディアンジェロかな。
ーやっぱジャンルに偏らないね。ブラック・ミュージックは気になる?
岡野:最近は面白いですね。ちゃんとルーツを押さえながら、広いところからいろいろなアイデアを持ってくるところがあるんですよ。
稲妻:時期的にちょうどいいんだろうね。JAZZ とかHIP HOPとかR&Bとかあまりジャンルにこだわらずそれぞれ自由に行き来してる気がしますね。
辻 :ちょうど若手で面白いことやってた人が今30代くらいになってきて、エネルギーが爆発してる感じがありますね。
ーここ数年でシティポップが由来と言われるバンドが結構出てきたじゃない?ミツメとか、森は生きているとか、Yogee New Waves とか、 Never Young Beachとか。そういうバンドを聴いたり、シーンから影響を受けたりする?
稲妻:シーンとかそういうところから影響は全くないです。
岡野:無いな。
ーそういったバンドはよくわかりませんと?
稲妻:聴かないですね。
辻:でもたぶんCD出せた背景は、たまたま上げてた『緑の肖像』がその文脈に引っかかったんじゃないかな。そういう意味では無関係とは言い切れないですね。こっちはシティポップとは思ってないけど、聴き手にとってはそう思われることがあるだけで。
岡野:僕ら都会育ちじゃないんで。
ーシティね(笑)次回作を作る話は?
稲妻:いや、ないですね。レーベルとも1枚の契約だから。
ーじゃあ、もしまたリリースするとしたらまたちょっとモードは違ったりする?
鈴木:もっと肉体的にしてプレイヤー感が出てもいいかなと思いますかね。
稲妻:今回は作るうちにサウンド全体が調和されていたところがあるんですが、もっとリズムが立ってて、楽器が自立して聴ける、尚且つ、トータル的にバンドとして聴けるのもいいかな。
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京都在住、稲妻志樹(vo,dr)、辻浩季(bs,cho)、岡野宏紀(gt,cho)、鈴木敢士(gt,cho)の4人によって結成された日本語バンド。12月にタワーレコード内のインディーレーベル<LUCK>よりアルバム『Hotel Dominik』をリリースした。
https://twitter.com/luck_anotraks