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ホテル・ドミニク インタビュー ~アルバム『Hotel Dominik』リリース記念~

ホテル・ドミニクのEP『Hotel Dominik』が Ano(t)raks×タワーレコードの新レーベル<LUCK>より2016年12月21日(水)にリリースされた。
ホテルドミニクジャケット

ホテル・ドミニクは京都在住、20代の4人組による日本語バンドだ。
過去に別名のバンドで数回ブッキング・ライブに出演し、そのライブ会場でほんの数枚の自主制作CDを配った程度。表立った活動はほとんどしていない。"ホテル ドミニク"名義では今作以外の音源もなし。ライブ履歴もない。たいした実績もないバンドである。
しかしながら、インディミュージックの重要レーベルである
Ano(t)raksのオーナーが惚れ込み、本作のリリースに至ってるのも事実だ。

実際、楽曲のアレンジは
まるでベテランミュージシャンが作ったような完成度をしているし、作品にはすごく特殊な情緒が詰め込まれている。それは土着感なのか、異国的な感覚なのか、あるいはいつか聴いた懐かしさなのか、いまいち説明がつかない心地良さや緊張感で心が揺すぶられる。

どのような背景、どのような感覚で作り出したのか。「謎の4人組」とされている彼らの素性にも少し迫りながら、メンバー4人に取材をした。

ホテルドミニクメンバー

















アーティスト:稲妻(Vo&Dr)、辻( Ba)、鈴木(Gt)、岡野(Gt) 
インタビュー&text:TJ
2017年1月8日 場所:京都某所

ネット上に情報が無いから「謎の4人組」に
ー音楽ニュースの記事とかでは「謎の4人組」になってるよね(笑)

稲妻:なんかそういうことなんですよね。謎のバンドです(笑)。

辻 :ネット上に情報が無いんですよね。だからそういうキャッチフレーズになったと思います。たぶん。

ーどういう経緯で<LUCK>からのリリースになったの?

稲妻:3年前に録った音源から1曲だけ(『緑の肖像』)Sound Cloudにアップしてたんですが、Ano(t)raksのオーナーの小笠原さんがどっかから見つけてくださって、そこから行 達也さん(タワーレコード/
<LUCK>)も紹介していただいて。
それでメールを介して「新しくタワーレコードでレーベル<LUCK>をやるので契約しませんか?」って声をかけていただきました。

辻 :小笠原さんがTwitterでSound Cloudのアドレス貼って「このバンドの情報求む!」って情報募ってたんだよな。

稲妻:そうだ。そこに僕らのアカウントを連絡してくれた方がいて繋がったんです。

ーやっぱ謎のバンドなんだ(笑) Ano(t)raksの存在は知ってたの?(※LUCKは Ano(t)raksとタワーレコードのコラボレート・レーベル)

稲妻:知らなかったです。その前はどこかにデモテープ送ろうかって話してたんですよ。

辻 :バンドの方向性について、ライブはやらずに音源製作中心でやろうかって話合ってた矢先だったんで、ちょうどベクトルが合ったんです。

ー作品がいろいろな人に届いてる実感はある?

稲妻:まあ、Twitterとかで反応は見ます。でもまだ実感は無くて客観的に見てしまいますね。

辻 :鹿児島に行った時にタワレコに寄ったら置いてくれてましたよ。

稲妻:関西のお店は挨拶に行ってますが、ポップを出してくれててありがたいです。仙台の店舗で視聴機に入れてくれてるみたいです。

辻 :それとラジオで流れるって思ってなかったんで、結構うれしいですね。

鈴木:SoundCloudに上げてただけで全国リリースになったんで、はっきり言ってまだ意味わかんないですね。

ー良い曲作れる才能があれば見つけてくれるんだね。ていうか1曲だけでよく契約になったよね。

鈴木:他の曲聴かせてください、とかもなかったよね。

稲妻:初めて東京で行さんに会った時に「もっとおじさんが来ると思った」って反応だったんですよね。

"正体"が掴めないからむしろ直感的に聞けると思う
 
ーまさか20代とはね(笑)。でもその勘違いも理解できるんだよ
。ホテル・ドミニクの曲って、80年代を体験してる人に生々しい懐かしさを連想させるんだよね。これは意図的にしてるの?

稲妻:昔の雰囲気を出すつもりも、歌詞で物語性とか意味を特定させるつもりも全然無いんです。普段音楽を聴いていて、歌詞の内容がとらえづらいものでも、切れぎれに聞こえてくる言葉で、何となく絵とか映像が浮かんでくることがよくあるんですが、それが年代とか喜怒哀楽がはっきりしたものではないんです。

"郷愁"と言っても、いわゆる懐古趣味的なものではなくて何が懐かしくさせてるのか、正体が掴めない感じだと思います。なので内容が明快でない分、むしろ直感的に聞いてもらえるかなと思いました。

ー逆に自由に想像できるようにしてると?

稲妻:曲を聴いてどんな情景を引っ張り出してくるかって、時間も空間も人によってズレがあった方が面白いと思いました。そういった時代的な脈略を省いた感覚で、音像とか歌詞を作りたいというのがあるんです。
今は古い音源から曲を作ることがすごく容易で、そういうアプローチのバンドが確実に増えてると思うんですよね。過去の音楽に近づけるやり方が全然珍しくない。
だから、年代とかジャンルといったわかりやすい括りで期待通りのことをやるよりも、聴いてる方がちょっと肩透かし喰らいながら楽しめるものにしたいと思ってました。

辻 :狙いが狭くないんですよ。直接的じゃないけど新しい音楽の要素もありますよ。

岡野:時代やジャンルをあまり意識せずに聴いてもらいたいです。

石川セリみたいに新しいリズムに歌謡曲の要素を混ぜる

ー今回収録の曲はリリースが決まってから新しく作ったの?

稲妻:M5『緑の肖像』以外は新しく作ったり前からの曲を大きくアレンジしてます。















   
ー『緑の肖像』は特にイントロとかサビがシングル曲っぽいわかりやすい曲だよね。

稲妻: 何年か前にライブで演奏しやすいように作った曲なんですよ。でもその頃の曲って自分たちが普段聴いてる曲と隔たりがあったんですよね。今はバンドで表現できる幅も広がったし、レコーディング作業でその隔たりを無くすこともできると思ったんで新しい曲を作ったんです。作った時期が違う曲が並んでるんで、アルバムとしてのコンセプトが無くなることを気にしてましたが・・
   
鈴木:そう、それは心配してた。

稲妻:曲を作っていく中でバンドのいろいろな側面が見えてきたんで、「なんでもやります」っていう風にとってもらえればいいかなと思うんですよね。

ー確かに個性が際立つ楽曲が揃ってるよね。作曲にあたって、インスピレーションになるような楽曲とかあった?

稲妻:うーん・・『パドバスクの影絵』のアレンジを決める時に言ってたのはイアン・デューリーの『inbetweenies』ですかね。
ー意外。パブロック?

稲妻:パドバスクは全体的に歌謡曲のテイストなんですけど、イアン・デューリーの湿った感じの音像とかリズムが混ざったら面白いかなと思ったんですね。

ー結構ロックな洋楽だったり、そのまま歌謡曲から着想することもあるんだね。

稲妻:相性がいいと思ってたんですよ。石川セリとかビブラトーンズが新しいリズムに歌謡曲の要素を混ぜるみたいな曲の作り方してて、今こういうのやってるバンドはないかなと。曲に対してのイメージもそれぞれ共通するものがあったと思うので。

ー結構ロジカルな思考で作曲してるんだね。

稲妻:全然脈略のないことに親和性を見つけて、それが馴染んだりすると、別の側面で自分の好きな音楽を発見できて面白いんですよね。

鈴木:あと、モコモコとした湿っぽい音の質感のニュアンスをエンジニアの方に伝えるためにSLYの『Family affair』で説明したりしましたね。
ーこの曲は特に顕著なんだけど、歌謡曲っぽいメロディの裏でベースラインがリズミカルな動きをしてて、曲のシリアスさとかクールさを際立たせてると思うんだよね。

稲妻:リズムが強い肉体的な音にしたくなかったんですけど、逆にゆるいのも嫌だったので。コッテリとして気持ちよさも入れたくて、ベースはそういう要素を担ってると思いますね。
辻 :目立つフレーズが多いんで、レコーディングでは出来るだけエレキっぽいうるさい音じゃなくて馴染む音になるように気を付けてました。

ー『屋上庭園にて』はどう?リズムボックスとシンセの音色の効果で良い感じで緩やかなムードが出てるよね。

鈴木:Shuggie Otisの『Island Letter』は、リズムボックスやモヤっとした音色の鍵盤から連想される気だるい雰囲気に、ストリングスやグロッケンの音が重なるシュールな感じがいいなと思って、サウンドの参考にしてました。

稲妻:元々はジョージ・ハリスンの『Pure Smokey』みたいな泥臭い感じだったんですけど、曲が持つ雰囲気に馴染むようにアレンジとか歌詞を考え直しました。
さっきも言ったんですが、絵とか映像のイメージが頭の中で出来てくるんで、それを色々な要素で一つの曲に落とし込むという作り方をしてましたね。
 

(ライブは)行って帰ってくる思い出しかない(笑)


ーやっぱいろいろな音楽の要素が詰まってるみたいだね。このアルバムを気に入ってライブを見たい人もいると思うんだけど、予定は?

稲妻:ちょっと今メンバーが忙しいってのもあって予定はないんです。

岡野:前にライブしたのっていつだっけ?2年前?

ーバンドしててライブしたいって思わない?

稲妻:思わないですね。

鈴木:曲作りや音源制作の作業の方が好きですね。ライブが楽しいって感じたことはないかもしれないです。

稲妻:行って帰ってくる思い出しかない(笑)
でも今回作った音源でどんなライブになるか自分でもわからないので、(もしやるなら)その辺を楽しみながらできるとは思いますね。

ー過去の音源をディグる話は聞いてきたけど、逆にここ1、2年にリリースされたものとか、みんなどんなの聴くの?

岡野:ケンドリック・ラマーとか。

鈴木:マック・デマルコとかみんな聴くよね。

辻 :僕はデビッド・ボウイとプリンスの新譜。あとディアンジェロかな。

ーやっぱジャンルに偏らないね。ブラック・ミュージックは気になる?

岡野:最近は面白いですね。ちゃんとルーツを押さえながら、広いところからいろいろなアイデアを持ってくるところがあるんですよ。

稲妻:時期的にちょうどいいんだろうね。JAZZ とかHIP HOPとかR&Bとかあまりジャンルにこだわらずそれぞれ自由に行き来してる気がしますね。

辻 :ちょうど若手で面白いことやってた人が今30代くらいになってきて、エネルギーが爆発してる感じがありますね。
ーここ数年でシティポップが由来と言われるバンドが結構出てきたじゃない?ミツメとか、森は生きているとか、Yogee New Waves とか、 Never Young Beachとか。そういうバンドを聴いたり、シーンから影響を受けたりする?
稲妻:シーンとかそういうところから影響は全くないです。
岡野:無いな。
ーそういったバンドはよくわかりませんと?
稲妻:聴かないですね。
辻:でもたぶんCD出せた背景は、たまたま上げてた『緑の肖像』がその文脈に引っかかったんじゃないかな。そういう意味では無関係とは言い切れないですね。こっちはシティポップとは思ってないけど、聴き手にとってはそう思われることがあるだけで。
岡野:僕ら都会育ちじゃないんで。

ーシティね(笑)次回作を作る話は?

稲妻:いや、ないですね。レーベルとも1枚の契約だから。

ーじゃあ、もしまたリリースするとしたらまたちょっとモードは違ったりする?

鈴木:もっと肉体的にしてプレイヤー感が出てもいいかなと思いますかね。

稲妻:今回は作るうちにサウンド全体が調和されていたところがあるんですが、もっとリズムが立ってて、楽器が自立して聴ける、尚且つ、トータル的にバンドとして聴けるのもいいかな。
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■ホテル・ドミニク @hoteldominik

京都在住、稲妻志樹(vo,dr)、辻浩季(bs,cho)、岡野宏紀(gt,cho)、鈴木敢士(gt,cho)の4人によって結成された日本語バンド。12月にタワーレコード内のインディーレーベル<LUCK>よりアルバム『Hotel Dominik』をリリースした。


https://twitter.com/luck_anotraks


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