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POST MODERN TEAM 『COME ON OVER NOW』リリース記念インタビュー


12月13日(金)POST MODERN TEAMの3RDアルバム『COME ON OVER NOW』がリリースされた。ホントに今作はリピート回転必須の、インディロックファンにとって金字塔的作品であると思う。


私はリリース1カ前に扇町para-diceで開催されたプレレコ発イベントにて一足先にアルバム収録曲を堪能していた。そこで浴びた『LISTEN TO THE MUSIC』の衝撃は今でも思い出されるが、PMTにしてはいつもより長い尺の曲であることが新鮮だったし、特筆すべきはメロの深さだ。尺が長ければ長いほどそれは突き刺さってきた。そして浪々と響き渡るアウトロのギターサウンドがフロアをサーフさせる光景を確かに目撃し、今度のアルバムは絶対ヤバイものになると確信した次第であった。


その場の予感のとおり(イヤ、それを上回るレベルで)『COME ON OVER NOW』はM1の『LISTEN TO THE MUSIC』からアコースティクナンバーのM11『 Thank You For The Good Times 』までどれも落とせない傑作曲揃いであり、それはリスナーもすでにご承知であろう。


以下はその扇町para-diceのイベントにてライブの素晴らしさから岸田君に衝動的に懇願して、年末の忙しいところをわざわざ時間を割いてもらって実現したインタビューである。当日は約2時間に渡って熱い思いを語ってくれたが(コメダ珈琲の店員が注文してもいないものを持ってきてくれるほど)すでに既出の記事と重複している部分を省いた。「マイペースだ」と言いながら制作に向けた思いが狂人クラスに熱く、まさに自分自身が『OVER NOW』を繰り返して生み出された作品であることが垣間見れた。



アーティスト:【Post Modern Team】岸田 剛
2017年12月15日 場所:大阪 コメダ珈琲 天満店


まだほとんど曲がなかったのにレーベルに打診してた


ーリリース後にtwitterで流れてくるニュース見てたら「待ってました!」みたいな反応が目立っててPost Modern Team(以下PMT)もだいぶ浸透したなーって思ったんだよね。タワーレコードも大阪、東京以外で地方とか小さい店舗とかでも取り扱いが多かったよね。

岸田「そうですね。タワーレコードではいろんな店舗で盛り上げていただいていてありがたいですね。仙台とか広島とか今まで行ったことないところからも反響があって嬉しいです。」

ーそれはやっぱり前作がすごく受けたから?

岸田「リリースした当時はそういう実感はなかったんですが・・それこそPMTはこれまでも爆発的にブレイクはしてませんが、じわじわと支持されてる印象はあります。活動もマイペースですからね。」

ーそれで順調に支持してくれる層が増えたのかもね。PMTの音って正に今で言う"インディロック"って音の代表だと思うんだよね。そういうジャンルで括られるのって抵抗ある?

岸田「インディロックですねって言われたら「はいそうです」って即答しますよ。シティポップって言われるのを嫌がるバンドが多いって聞きますが、PMTはシティポップだね!って言われても「そうです」って言いますよ(笑)どんな風に捉えてもらってもいいんです。」

ーHOLIDAY! RECORDS(以下HOLIDAY!)との出会いはどんな感じだったの?1stはAno(t)raksだったよね?

岸田「Ano(t)raksはその頃webだけのリリースだったので、無理やり頼んでAno(t)raksからのリリースにしていただいて、なのでほぼ自主だったんですよ。でその頃によく見るようになったHOLIDAY!に1stの販売をお願いしようと(レーベルオーナーの)ヒデアキに会ったところ、住んでるところも近くて歳も近いってこともあって、よくラーメン食べに行く仲になったんですよ。」

―ラーメン友達(笑)その縁で前作の2ndがHOLIDAY!の第1号リリースになったと?

岸田「HOLIDAY!はwebやライブハウス会場でインディバンドの音源を販売するディストロだけのレーベルだったんですよ。でもそのうちリリースができる機会になって、ちょうどそのタイミングでPMTもネットで公開してる曲が貯まってたから2ndが出せないかってお願いしたんですよね。」

ーじゃあ今作も曲が貯まってきたから出せるか打診したの?

岸田「今回も確か・・・ボクから出してって言ったんですよ。2017年のはじめくらいかな。でもその時ってたぶん3曲くらいしかできてなかったんですよね。ほとんどがアルバムを出すって決めてから作った曲ですよ。」

―えー!じゃあすごい急な制作ペースだね!曲がまだなかったのにリリースをお願いした動機はなんだったの?

岸田「詳しく覚えてないですが、自然な流れで「出せますか?」ってレーベルに聞いてましたね」

―そういう衝動があったんだろうね。で、今作はいろいろレーベルと意見交換しながら作ったんだよね。

岸田「そうですね。ヒデアキは歳も近いから「オアシスのこういうのにしたい」とか言ってもわかってくれて、アレンジとか選曲とかミーティングしながら決めたんですよ。特に1曲目の『Listen To The Music』って尺が長くて曲調的にも実は最後にする予定だったんですがヒデアキからこれを推したいって強い要望があって1曲目にしてMVも作ることになったんですよね。」

―ナイス助言だよね。今作の色を代表する名曲だと思うよ。

岸田「そう思いますか?よかった。尺が長いからMVのカットが多くて大変だったんですけどね(笑)確かに評判はいいですね。」 


一番UKロックシーンが熱かった2005年への原点回帰

ーでアルバムのテーマが"2005年"への原点回帰って言ってたじゃん?2005年に特別な思い入れがあるの?

岸田「ありますよ。僕の中で一番UKロックのシーンが熱かった時代なんですよ。ストロークスの『Room On Fire』以降、リバティーンズが解散して伝説になりかけで、あの頃一枚で消えたバンドがめっちゃ多いじゃないですか。The Enemyとか。Eight Legsとか。The Paddingtonsとか。The Viewとか。Razerlightとか。この時が一番音楽聴いてて、いわゆるルーツなんですよ。Cajun Dance Partyまでですね。それ以降はThe DrumsとかVampire WeekendとかアメリカがUKっぽい音になったから。本当の意味で熱かったのはあの時期だと思います。」
  
ー 確かに。あれはバンドブームだったよね。やっぱその熱かった時代の音楽をやってみっかと?

岸田「そうですね。PMTを始めた時は時代に合わせる音を取り入れようとしてたんです。1stの時はドリームポップとかシューゲイザーとかがブームだったんですよね。実はそこをあえて取り入れてた。2nd(2014年)の頃はシンセのバンドが増えてきたんでシンセっぽいのをやろうとしてた。でも去年くらいからジャンルが多様化していろんなバンドが出てきたんですよ。ジャンルで括られない空気になった。じゃあ何やろうかってなった時に、自分が好きだったあの時代のUKの曲をやろうと思ったんです。それと、その頃の音楽をやってるバンドも出てきたんですよ。特にDYGLなんかまさにボクが学生時代に聞いてたような曲ばかりしてるんですよ。RazerlightとかThe Cribsのカバーもしてるし。その影響もあって「あ、やってもいいんや」って確信したんです。」

―火がついたと?

岸田「そうですね。やっぱボクはこの時代の曲が好きなんですよね。10年後でも20年後でも「The Viewのあの曲がええなー」って言ってると思いますよ。」

―実はその時やってたNINGENCLUBの曲がまさにその時代のUKの音楽性だったよね。『△』なんてリアルタイムでThe Cribsの影響が強い曲じゃん?

岸田「あの頃、東京にはThe CigavettesとかSister JetとかUKっぽいバンドがいたんですけど、僕らはそこに絡むほども届かない無名な存在だったし、周りでそういう音楽性のバンドというか、シーンがなかったんですよね。」

ー今になって届くって目途がたったんだね。

岸田「でもやっぱ情報サイトとか見てると、やっぱ今でもシンセっぽいバンドが中心でDYGLとかは特殊なんですよ。だから受け入れらるのか、まだ不安なんですけどね(笑)」

ー(笑)でもあの反応を見ると、オレも含めてだけど、やっぱ待ってた人が多かったと思うよ。じゃあ、せっかくの年末ってことなんで。今年特に聴いた音楽を聞こうと思うんだけど、だいたい配信をスマホで聴いてるじゃん?どんなの聴いてるの?

岸田「そうですね・・(とitunesを開いてもリアムギャラガーしか入ってない)あっリアムしかないですね。。今年ボクほとんど家から出てないんですよ。ライブしてる以外は一年中ほとんど曲作ったり、他のバンドの曲のミックスしてたりしてたから。」

―・・すごい。やっぱそれだけ衝動的に製作へのエネルギーがあったってことの表れだね。確かにそういう熱が伝わるアルバムですよ。じゃあPMTの今後の予定は?

岸田「2月17日に東京でリリースイベントがあって。それ以降はまだ決まってないけど、東名阪は絶対やります。」

―それ以外の反響があった地域もね。

岸田「そうですね。行きますよ!」


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■Post Modern Team(ポストモダンチーム)@postmodernteam
2012年活動スタート。岸田剛によるインディロックユニット。いわずと知れたインディロックシーンの最重要バンドであり、HOLIDAY!RECORDSの看板。2017年12月13日(金)に3RDアルバム『COME ON OVER NOW』をリリース。


<ライブ情報>
2018.2.17(sut)
~Post Modern Team×Someday’s Gone W release party!!!!~
下北沢DaisyBar
[GUEST ACT] SonoSheet Susedd THE FOREVERS I Saw You Yesterday


 


<各種メディア インタビュー記事>
<SALON>http://salon-community.com/feature/480/
<mikiki> http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/16457
<ki-ft.>http://ki-ft.com/interview/post-modern-team-come-on-over-now/

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Suedollar Yankeeショートインタビュー ~2ndデモ[ DEMO 2 ]リリース~



24HourControlのメンバーを中心に2016年に結成されたSuedollar Yankee(スーダラーヤンキー)が、9月30日(土)に開催された京都nanoでのイベントよりdemoEP[DEMO 2]をリリースした。イベント直前の現場にて、
リリースにあたっての経緯とバンドの状況などを聞いた。
 


 


アーティスト:【Suedollar Yankee】山内大地(Vo./Gt.) 、山岡 錬(Ba.)、ハヤシケイタ(Ba.),西 祥吾(Dr.) 
2017年09月30日 場所:京都某所


「全部ラブソングですよ」
-今回のリリースにあたっての経緯を聞かせてください。

山岡
「(前のバンドから)今のバンドを結成したのがちょうど1年前で、最初はSoundCloudだったんですが、早いところ形になるものを出そうと話して、音源を2枚出して、それぞれレコ発のイベントをしようと計画してたんです。6月に赤盤が出せて、今回のが出せてと、予定どおりですね。」



-前作も合わせて6曲がすでにあって、それぞれ2つにわけて出したと?
大地「そう。さっき言ってたような計画をして、その中でできた曲もあるかな。」

-エンジニアはここ(nanoのビル2Fを指さして)?
大地「いや。MississippiKhakiHair(@Mississippi_OSA) のカツミ君がレコーディングができるって聞いて。スタジオで録音して、ミックスとかマスタリングも含めてお願いしました。」   

-ライブ会場以外はどこで買えるの?
山岡「HOLIDAY!RECORDS(@holiday_distro)とTHISTIME RECORDSの姉妹店のThe Domestic(https://ttosdomestic.thebase.in/)で取り扱ってもらいます。前の赤盤を聴いて気に入ってくれた信頼できるところです。」

-今回の音源の特徴として、アナログ感というか、Lo-Fiなザラっとした感じが強調されてて、音で前作と違いが出てると思ったんだけど意図的に?
大地「(前のと)わざわざ分けてるし、それぞれの特徴が出ればいいかなと。」


-西君にとってはどう?
西「曲は聴いてもらって判断してもらえればね。曲が軽快っていうのもあるんですけど、リズムは2枚目のほうが聴きやすいと思いますよ。」


-前のバンドの時によく言われてた、あのバンドみたいとかあのジャンルだねって、出展を探られる隙間がもうないよね。かなり楽曲のオリジナル度が増した。
大地「そうですか?オケがややこしくなったんやと思いますよ。日本語とそういった洋楽的な音とのミスマッチってあるやろし。まあでもいろいろ当てはめてみて、マンチェっぽい音とかも目立たないように塗り込んであるんじゃないでしょうか。」
山岡「前のバンド名はそれで印象づけられやすいところがありましたからね。今のほうが出来る幅が増えました。」

-歌詞の特徴も、今の"日本語バンド"みたいな
斜め上視点のCITY感がないよね。
大地「そうですか?どういう感じだと思いますか?」


-都会というより郊外っぽい。より現実に近い描写という意味でだってスケボーなんて乗らないじゃん。
大地「コーヒー持ちながらとか?ああ、そういう意味のCITYね。それは東京じゃないですか。そういうのはできないですね。・・・まーでもそうは聴こえてないかもしれないけど、全部ラブソングですよ(キッパリ)」


「恥ずかしい事歌ってるけど、堂々と聴いてくれればいい」



-今回のレコ発イベントに出演してもらったバンドはどういう見方で揃えたの?
山岡「前は日本語で音楽をやってるバンドって基準はあったんですが、今回はかっこよかったらいいじゃないって見方で決めましたね。」
大地「そうですね。Maggot Gorillazはこれ(https://www.superrealrockmagazine.net/single..)見ていいと思ったし。CANDYは1回目から次は出てほしいと決めてました。」



-イベントの開始が割と早い(18:00)よね。
山岡「その分早く終わりますよ。土日だから遅くする意味ないし、(ライブハウスのブッキングとかで)11時終わりとかありえない。お客さんも早く帰れれば、帰りたいと思うんじゃないでしょうか。


-そう思う。遠くから来る人もいるしね。
大地「終わってからゆっくりみんなと話す時間が欲しいんです。」


-今年はリリース以外も東京に遠征したりと活動が活発になってるけど、これからは?
大地「今後は活動の拠点が変わるかもしれないです。関西に住みながら活動の中心は東京にしたほうがいいじゃないかと話してるんです。」

-それはなぜ?向こうのほうがチャンスがある?
大地「それもあるだろうし、同じことするんだったら時間かけても東京に行ったほうがね。人が多いし、ノルマもとられないしね。」
山岡「東京のほうがリアクションが早くてわかりやすい印象がありますね。」

-向こうで繋がりがあるバンドもできてきた?
「ペトラザ(@pedraza_band )とか仲いいですね。いろいろやれそうな基盤はできてます。」

-また近くで東京でライブする予定はあるの?
大地「はい。10月とか11月とかに予定してます。」

-反応が広がってくればいいよね。
山岡「でも(ネット上では)みんなあんまり反応してくれないんですよ。反応のツイートが次の日に消えてたりとか・・・。」
全員「笑」

-なんでだろう?
山岡「わかんないですけど、恥ずかしいでしょうか。自信を持って聴いてほしい。」
大地「オレらは恥ずかしいこと歌ってるけど、聴いてるほうは恥ずかしいと思わなくていいよ。」

ーその時はいいと思っても次の日に冷めるのかな?
山岡「そうであれば、恥ずかしいと思われないバンドになりたい。次の日まで良いと思わせるバンドになりたいですね。」

-じゃあ今日は次の日まで酔いを残させるライブをしてください!
大地「わかりました」


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Suedollar Yankee


関西で活動する4人組バンド。6月に[DEMO 1]、9月に[DEMO 2]をリリース。


音源はいづれもHOLIDAY!RECORDSとTHISTIME RECORDSにて取扱い中。

▽視聴
https://soundcloud.com/suedollaryankee

▽リンク
Twitter: https://twitter.com/suedollaryankee
soundcloud: https://soundcloud.com/suedollaryankee





ホテル・ドミニク インタビュー ~アルバム『Hotel Dominik』リリース記念~

ホテル・ドミニクのEP『Hotel Dominik』が Ano(t)raks×タワーレコードの新レーベル<LUCK>より2016年12月21日(水)にリリースされた。
ホテルドミニクジャケット

ホテル・ドミニクは京都在住、20代の4人組による日本語バンドだ。
過去に別名のバンドで数回ブッキング・ライブに出演し、そのライブ会場でほんの数枚の自主制作CDを配った程度。表立った活動はほとんどしていない。"ホテル ドミニク"名義では今作以外の音源もなし。ライブ履歴もない。たいした実績もないバンドである。
しかしながら、インディミュージックの重要レーベルである
Ano(t)raksのオーナーが惚れ込み、本作のリリースに至ってるのも事実だ。

実際、楽曲のアレンジは
まるでベテランミュージシャンが作ったような完成度をしているし、作品にはすごく特殊な情緒が詰め込まれている。それは土着感なのか、異国的な感覚なのか、あるいはいつか聴いた懐かしさなのか、いまいち説明がつかない心地良さや緊張感で心が揺すぶられる。

どのような背景、どのような感覚で作り出したのか。「謎の4人組」とされている彼らの素性にも少し迫りながら、メンバー4人に取材をした。

ホテルドミニクメンバー

















アーティスト:稲妻(Vo&Dr)、辻( Ba)、鈴木(Gt)、岡野(Gt) 
インタビュー&text:TJ
2017年1月8日 場所:京都某所

ネット上に情報が無いから「謎の4人組」に
ー音楽ニュースの記事とかでは「謎の4人組」になってるよね(笑)

稲妻:なんかそういうことなんですよね。謎のバンドです(笑)。

辻 :ネット上に情報が無いんですよね。だからそういうキャッチフレーズになったと思います。たぶん。

ーどういう経緯で<LUCK>からのリリースになったの?

稲妻:3年前に録った音源から1曲だけ(『緑の肖像』)Sound Cloudにアップしてたんですが、Ano(t)raksのオーナーの小笠原さんがどっかから見つけてくださって、そこから行 達也さん(タワーレコード/
<LUCK>)も紹介していただいて。
それでメールを介して「新しくタワーレコードでレーベル<LUCK>をやるので契約しませんか?」って声をかけていただきました。

辻 :小笠原さんがTwitterでSound Cloudのアドレス貼って「このバンドの情報求む!」って情報募ってたんだよな。

稲妻:そうだ。そこに僕らのアカウントを連絡してくれた方がいて繋がったんです。

ーやっぱ謎のバンドなんだ(笑) Ano(t)raksの存在は知ってたの?(※LUCKは Ano(t)raksとタワーレコードのコラボレート・レーベル)

稲妻:知らなかったです。その前はどこかにデモテープ送ろうかって話してたんですよ。

辻 :バンドの方向性について、ライブはやらずに音源製作中心でやろうかって話合ってた矢先だったんで、ちょうどベクトルが合ったんです。

ー作品がいろいろな人に届いてる実感はある?

稲妻:まあ、Twitterとかで反応は見ます。でもまだ実感は無くて客観的に見てしまいますね。

辻 :鹿児島に行った時にタワレコに寄ったら置いてくれてましたよ。

稲妻:関西のお店は挨拶に行ってますが、ポップを出してくれててありがたいです。仙台の店舗で視聴機に入れてくれてるみたいです。

辻 :それとラジオで流れるって思ってなかったんで、結構うれしいですね。

鈴木:SoundCloudに上げてただけで全国リリースになったんで、はっきり言ってまだ意味わかんないですね。

ー良い曲作れる才能があれば見つけてくれるんだね。ていうか1曲だけでよく契約になったよね。

鈴木:他の曲聴かせてください、とかもなかったよね。

稲妻:初めて東京で行さんに会った時に「もっとおじさんが来ると思った」って反応だったんですよね。

"正体"が掴めないからむしろ直感的に聞けると思う
 
ーまさか20代とはね(笑)。でもその勘違いも理解できるんだよ
。ホテル・ドミニクの曲って、80年代を体験してる人に生々しい懐かしさを連想させるんだよね。これは意図的にしてるの?

稲妻:昔の雰囲気を出すつもりも、歌詞で物語性とか意味を特定させるつもりも全然無いんです。普段音楽を聴いていて、歌詞の内容がとらえづらいものでも、切れぎれに聞こえてくる言葉で、何となく絵とか映像が浮かんでくることがよくあるんですが、それが年代とか喜怒哀楽がはっきりしたものではないんです。

"郷愁"と言っても、いわゆる懐古趣味的なものではなくて何が懐かしくさせてるのか、正体が掴めない感じだと思います。なので内容が明快でない分、むしろ直感的に聞いてもらえるかなと思いました。

ー逆に自由に想像できるようにしてると?

稲妻:曲を聴いてどんな情景を引っ張り出してくるかって、時間も空間も人によってズレがあった方が面白いと思いました。そういった時代的な脈略を省いた感覚で、音像とか歌詞を作りたいというのがあるんです。
今は古い音源から曲を作ることがすごく容易で、そういうアプローチのバンドが確実に増えてると思うんですよね。過去の音楽に近づけるやり方が全然珍しくない。
だから、年代とかジャンルといったわかりやすい括りで期待通りのことをやるよりも、聴いてる方がちょっと肩透かし喰らいながら楽しめるものにしたいと思ってました。

辻 :狙いが狭くないんですよ。直接的じゃないけど新しい音楽の要素もありますよ。

岡野:時代やジャンルをあまり意識せずに聴いてもらいたいです。

石川セリみたいに新しいリズムに歌謡曲の要素を混ぜる

ー今回収録の曲はリリースが決まってから新しく作ったの?

稲妻:M5『緑の肖像』以外は新しく作ったり前からの曲を大きくアレンジしてます。















   
ー『緑の肖像』は特にイントロとかサビがシングル曲っぽいわかりやすい曲だよね。

稲妻: 何年か前にライブで演奏しやすいように作った曲なんですよ。でもその頃の曲って自分たちが普段聴いてる曲と隔たりがあったんですよね。今はバンドで表現できる幅も広がったし、レコーディング作業でその隔たりを無くすこともできると思ったんで新しい曲を作ったんです。作った時期が違う曲が並んでるんで、アルバムとしてのコンセプトが無くなることを気にしてましたが・・
   
鈴木:そう、それは心配してた。

稲妻:曲を作っていく中でバンドのいろいろな側面が見えてきたんで、「なんでもやります」っていう風にとってもらえればいいかなと思うんですよね。

ー確かに個性が際立つ楽曲が揃ってるよね。作曲にあたって、インスピレーションになるような楽曲とかあった?

稲妻:うーん・・『パドバスクの影絵』のアレンジを決める時に言ってたのはイアン・デューリーの『inbetweenies』ですかね。
ー意外。パブロック?

稲妻:パドバスクは全体的に歌謡曲のテイストなんですけど、イアン・デューリーの湿った感じの音像とかリズムが混ざったら面白いかなと思ったんですね。

ー結構ロックな洋楽だったり、そのまま歌謡曲から着想することもあるんだね。

稲妻:相性がいいと思ってたんですよ。石川セリとかビブラトーンズが新しいリズムに歌謡曲の要素を混ぜるみたいな曲の作り方してて、今こういうのやってるバンドはないかなと。曲に対してのイメージもそれぞれ共通するものがあったと思うので。

ー結構ロジカルな思考で作曲してるんだね。

稲妻:全然脈略のないことに親和性を見つけて、それが馴染んだりすると、別の側面で自分の好きな音楽を発見できて面白いんですよね。

鈴木:あと、モコモコとした湿っぽい音の質感のニュアンスをエンジニアの方に伝えるためにSLYの『Family affair』で説明したりしましたね。
ーこの曲は特に顕著なんだけど、歌謡曲っぽいメロディの裏でベースラインがリズミカルな動きをしてて、曲のシリアスさとかクールさを際立たせてると思うんだよね。

稲妻:リズムが強い肉体的な音にしたくなかったんですけど、逆にゆるいのも嫌だったので。コッテリとして気持ちよさも入れたくて、ベースはそういう要素を担ってると思いますね。
辻 :目立つフレーズが多いんで、レコーディングでは出来るだけエレキっぽいうるさい音じゃなくて馴染む音になるように気を付けてました。

ー『屋上庭園にて』はどう?リズムボックスとシンセの音色の効果で良い感じで緩やかなムードが出てるよね。

鈴木:Shuggie Otisの『Island Letter』は、リズムボックスやモヤっとした音色の鍵盤から連想される気だるい雰囲気に、ストリングスやグロッケンの音が重なるシュールな感じがいいなと思って、サウンドの参考にしてました。

稲妻:元々はジョージ・ハリスンの『Pure Smokey』みたいな泥臭い感じだったんですけど、曲が持つ雰囲気に馴染むようにアレンジとか歌詞を考え直しました。
さっきも言ったんですが、絵とか映像のイメージが頭の中で出来てくるんで、それを色々な要素で一つの曲に落とし込むという作り方をしてましたね。
 

(ライブは)行って帰ってくる思い出しかない(笑)


ーやっぱいろいろな音楽の要素が詰まってるみたいだね。このアルバムを気に入ってライブを見たい人もいると思うんだけど、予定は?

稲妻:ちょっと今メンバーが忙しいってのもあって予定はないんです。

岡野:前にライブしたのっていつだっけ?2年前?

ーバンドしててライブしたいって思わない?

稲妻:思わないですね。

鈴木:曲作りや音源制作の作業の方が好きですね。ライブが楽しいって感じたことはないかもしれないです。

稲妻:行って帰ってくる思い出しかない(笑)
でも今回作った音源でどんなライブになるか自分でもわからないので、(もしやるなら)その辺を楽しみながらできるとは思いますね。

ー過去の音源をディグる話は聞いてきたけど、逆にここ1、2年にリリースされたものとか、みんなどんなの聴くの?

岡野:ケンドリック・ラマーとか。

鈴木:マック・デマルコとかみんな聴くよね。

辻 :僕はデビッド・ボウイとプリンスの新譜。あとディアンジェロかな。

ーやっぱジャンルに偏らないね。ブラック・ミュージックは気になる?

岡野:最近は面白いですね。ちゃんとルーツを押さえながら、広いところからいろいろなアイデアを持ってくるところがあるんですよ。

稲妻:時期的にちょうどいいんだろうね。JAZZ とかHIP HOPとかR&Bとかあまりジャンルにこだわらずそれぞれ自由に行き来してる気がしますね。

辻 :ちょうど若手で面白いことやってた人が今30代くらいになってきて、エネルギーが爆発してる感じがありますね。
ーここ数年でシティポップが由来と言われるバンドが結構出てきたじゃない?ミツメとか、森は生きているとか、Yogee New Waves とか、 Never Young Beachとか。そういうバンドを聴いたり、シーンから影響を受けたりする?
稲妻:シーンとかそういうところから影響は全くないです。
岡野:無いな。
ーそういったバンドはよくわかりませんと?
稲妻:聴かないですね。
辻:でもたぶんCD出せた背景は、たまたま上げてた『緑の肖像』がその文脈に引っかかったんじゃないかな。そういう意味では無関係とは言い切れないですね。こっちはシティポップとは思ってないけど、聴き手にとってはそう思われることがあるだけで。
岡野:僕ら都会育ちじゃないんで。

ーシティね(笑)次回作を作る話は?

稲妻:いや、ないですね。レーベルとも1枚の契約だから。

ーじゃあ、もしまたリリースするとしたらまたちょっとモードは違ったりする?

鈴木:もっと肉体的にしてプレイヤー感が出てもいいかなと思いますかね。

稲妻:今回は作るうちにサウンド全体が調和されていたところがあるんですが、もっとリズムが立ってて、楽器が自立して聴ける、尚且つ、トータル的にバンドとして聴けるのもいいかな。
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■ホテル・ドミニク @hoteldominik

京都在住、稲妻志樹(vo,dr)、辻浩季(bs,cho)、岡野宏紀(gt,cho)、鈴木敢士(gt,cho)の4人によって結成された日本語バンド。12月にタワーレコード内のインディーレーベル<LUCK>よりアルバム『Hotel Dominik』をリリースした。


https://twitter.com/luck_anotraks


プロフィール

HN:
TJ
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非公開
自己紹介:
since 2008.

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