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13ch@アーヴァンギルド


13ch、というかそのメンバーの横山君が所属していたナンバーワンヒットジャムというバンドと出逢ったのはもう5年前だ。そのころやっていたバンドで2度共演した。
彼らは「ナンバーワンヒットジャムです。ロックやります」と自己紹介して、すごくテンションの高い、サイケガレージロックを演奏し始めた。
もう立て続けにやる曲がかっこよくって、タンバリンをたたくだけ(1曲だけボーカルをとる)のメンバーが居たのも衝撃的だった。
曲のかっこよさもさることながら、タンバリンの人が途中のMCで「レゲエなんて聴いて音楽聴いてる気になってチャチャラしてるやつは許せねえ!」ということを、人ってこんなにも憤れるのか!と思えるような表情で言ったのが印象的だったのだ。
このレゲエとは、リースクラッチペリーみたいなダブ系ではなく、当時流行っていた"湘南の風"とかそういうものを指していたのであろう。
とにかく日常の憤りをここまで赤裸々に沸騰させながらも、結構いろんなルーツを感じさせる割と繊細なガレージロックがツボにはまった。
そのせいでテンションが上がり、飲み過ぎてしまった当時のボクは、事もあろうに、そのメンバーが楽屋に忘れていったタンバリンをベースケースにかけて、シャカシャカさせながら家に持って帰ってしまったのだ。
その日の午前3時ごろ、男性から携帯に電話がかかってきた。
「もしかして、タンバリン持ってませんか?それものすごく大事なんです!」それがナンバーワンヒットジャムのタンバリン兼ボーカリスト北村君であった。
「盗んでませんか?」という言葉が出なかったところが彼のやさしいところでもある。
それからしばらくもしないうちにナンバーワンヒットジャムは解散し、そのメンバーであった横山君が2年ほど前に結成したのが13chだ。

●13chライブは"打ち合わせ"から始まる


前置きが長くなってしまったが、13chだ。
13chは主に京都アヴァンギルドで出演している京都のバンドだ。
この日は実に3ヶ月ぶりのライブというらしく、ノルウェーのバンドと韓国のバンドとのスリーマンだった。

13chはナンバーワンヒットジャムにあったサイケガレージロックの色も少しは残しながらも、横山君をはじめとした各メンバーたちのセンスによって、築かれた、独特な空気感を持ったバンドである。結構何度が見たつもりでいるが、毎回初めてみたような新鮮さにとらわれる。

昨日のライブもその例外ではなく、決してオールドスタイルなロックンロールバンドではないのに、ロックバンドに必要な、まっすぐなカッコよさを存分に感じさせてくれるものであった。
視覚的なパフォーマンスとして、大したステージアクションも無いし、気のきいたMCもほとんど無い。サービス性の薄いステージングであるにも関わらず、49分という決して短くない時間、興味を持続させるような存在感というか、独自性のある魅力がしっかりとあった。




具体的に取り上げれば、初めて聴く曲も含むライナップが素晴らしかった。
グラスゴーのギターポップバンドを思わせるメロディアスなギターリフで構成された曲がいくつか追加され、今まであったサイケロックな曲との混ざり具合、曲毎の起承が非常に心地よく感じた。純度の高い洋楽からのインスパイアが放り込まれている上に、全編日本語詞の曲であるのもこのバンドの尖ったところである。
そしてその起伏は最終の傑作曲「Slaugter House 6」へドラマチックに消化されてた。
★★★

あまりにも心地よくて500mlのハートランドを2本やった。



ライブの後、ちょっとだけ13chのメンバーと話してたら、いい時間になってしまった。
ノルウェイのバンドの「ゴボゴボゴボ!」という怒号?にも近い歌を背に受けながらアヴァギルドの扉を出ようとすると、後ろからスーツを着た小奇麗な男から
「あの!」
と声をかけられた。
5年前のヒッピーみたいな容姿からは想像がつかない変貌をとげていて名乗ってくれなければわからなかったが、確かによくよく見てみると、5年前のあの日、ステージ上からレゲエ歌手への怒りで震えていたあの北村君だった。
久しぶりに話せたのも嬉しかったし、聞けば、新しくバンドをしているとのこと。
また彼の絶妙なタンバリンさばきと内に秘めた怒りを爆発させる瞬間が見れるであろうと思うと嬉しくなってしまって、帰りの京阪電車でも冬物語をやってしまった。

13chは近々レコーディングに入るらしく、今度こそは(?)ちゃんとした音源をリリースできそうなメドがたったとのこと。楽しみに待とうと思う。
彼らの情報はSoundcloudとtwitterだけだ。


TJ
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